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アプコが三菱化学と合併し、三菱化学に(2008年4月1日)
「ノバミッド」はDSM社に譲渡(2010年5月31日)
電線・ケーブル用途プラスチック材料
 電線・ケーブル用途プラスチックとして、その被覆用、保護用等のプラスチック製品について ご紹介します。
 電線・ケーブルの被覆は、もちろん電気絶縁が第一目的ですが、そのほか電線の保護・腐蝕防止、被覆した電線・ケーブルの取り扱い易さと美観、 そして被覆の効率性が求められます。そういう意味で現在、電線・ケーブル等の被覆は、特別な場合を除き、殆どすべてプラスチック材料でなされて います。電線・ケーブルは主として電力輸送情報伝達の二つの役割を担っていて広く社会全体あらゆるところに使用されていますので、近年は上記のほかに、対環境性、難燃性、あるいは事故・燃焼時の安全性などが強く求められるようになっています。
電力輸送用電線・ケーブル
 これは発電所で作られた電気を消費地の変電所まで送る送電線、変電所で所定の電圧に下げられた 電気を工場やビル、家庭などに配る配電線、更に工場内、ビル内、家庭内で使用される配線、そして船舶・航空機・自動車等に使われる 特殊機器用電線に分けることができます。いずれも、特に高圧の送電・配電用のものは幾分複雑な被覆構造となっていますが、ここでは簡略化して プラスチックに関係の深い事項のご紹介とします。
 送電線のうち架空電線は無被覆ですが地中送電のものは、絶縁体として電気特性や機械強度に特に優れた架橋ポリエチレンを使用し、外側の シースに難燃性のポリ塩化ビニル(PVC)を使用しています。
 配電線も1KVクラス以上のものはほぼ同じような被覆がされていますが、数100Vクラスの配電線には絶縁体にもPVCが使用されています。架橋用 のポリエチレン(PE)は日本ポリエチレン(株)が 「ノバテックLD」として 最適グレードをそろえており、また三菱化学(株)は水と接触することで架橋することができる特殊な架橋用PEを 「リンクロン」の商品名で 提供しています。そして三菱化学MKV(株)は 「CVシート」の商品名 で本用途用に最適のPVC製シートを提供しています。また、外部半導電層のフリーストリッピング性を付与する為のコンパウンド用材料として、 三菱化学(株)のイージーピール性樹脂「VMX」 が用いられます。
 工場・ビル・家庭内外での配線は主としてPVC単独で被覆されたものが多く、屋内の電気機器に使用されるコード類も殆どが被覆はPVC単独です。 移動が激しい機器用や湿気のある場所ではキャプタイヤコードとよばれるものが使われ、これには架橋ゴムで被覆したものとPVC被覆のものが あります。
 以上のように、PVCはその優れた加工性、耐久性、難燃性、着色性等により非常に幅広く電線被覆材として用いられていて、ヴイテック(株)の 「サスペンジョンレジン」や アプコ(株)の「ビニカ」「スミコンVM」などが本用途用に好んで 用いられています。
 また家電やOA機器等の電源コードには、成形性が良い等の理由で、最近熱可塑性エラストマー(TPE)が使われることが多くなり、アプコ(株)の 「スミフレックス」「サンフロスト」「サンプレーン」などPVC系のTPEが使用されて います。
 高温域で使用される電線の場合、その被覆にはポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが用いられることが多く、三菱化学ポリエステルフィルム(株) の「ダイアホイル」が有名 です。ここでは架橋PEが用いられることもあり、その場合上記の水架橋用PEの 「リンクロン」 が好まれています。更に高温域では種々の耐熱樹脂が用いられますが、三菱樹脂(株)が絶縁テープ、保護テープ用として耐熱プラスチックフィルム 「スペリオUT」を提供しています。
 更に、被覆された電線・ケーブルの保護用としては、三菱化学MKV(株)が埋設電線の遮水用にPVC製あるいはポリエステル製の複合テープを 「電線用遮水テープ」として提供しており、 三菱樹脂(株)は地下埋設電線保護管としてPVC製パイプ 「ヒシパイプCCVP」 を提供しています。
 またマグネットワイヤとも呼ばれる、電気機器内のコイルに巻いて使用される巻線には、エナメルを塗布したり、紙や絹糸、あるいはPETフィルムで 絶縁したものがあります。ここにも三菱化学ポリエステルフィルム(株)の 「ダイアホイル」がよく用いられます。
情報伝達用電線・ケーブル
 電話線ケーブルのうち中・長距離用の被覆は、絶縁体を電気特性・伝送特性の優れたPEとして外側の シースにPEまたはPVCを使用したものが多く、電話局内、構内その他加入者近傍の電話線は殆どがPVC単独の被覆です。オフィスや家庭での 電子機器間の接続用電線もほぼ同様ですが、テレビのリード線などはPE被覆あるいはその外側シースにゴムを用いたものがあります。ここでも PEとしては日本ポリエチレン(株)の 「ノバテックLD」、PVCとしてはヴイテック(株) の「サスペンジョンレジン」や アプコ(株)の「ビニカ」「スミコンVM」などが使用されています。また、ブロードバンド時代対応 の光ケーブル内層被覆材や光ファイバー収納材(光スロット)として 「ノバテックHD」また外層材として難燃処方を 施したエチレン系共重合樹脂「レクスパール」が、電話局内・構内・加入者アクセス用に幅広く使用されています。やや特殊ですが量の多いものに 電話機のスプリングコードがありますが、ここには主としてTPEが用いられていて、アプコ(株)の 「スミフレックス」「サンフロスト」「サンプレーン」などがあります。
 情報伝達用ケーブルの地中線ケーブル保護管としては、三菱樹脂(株)がPVC製パイプ 「ヒシパイプPV」「ヒシパイプVE」などを提供しており、フリーアクセスフロア用の 電線保護管としても同社がPVC製パイプ 「ヒシリブパイプ」などを上市しています。
その他
 近年、エレクトロニクス化の進展やハイブリッド化などで自動車は電線使用量が増加の方向ですが、 自動車用電線の被覆は殆どがPVC、耐熱の必要なところにはPETや架橋PEが使用されています。そしてこれらには、前記のヴイテック(株)や アプコ(株)のPVC系材料、三菱化学ポリエステルフィルム(株)の 「ダイアホイル」、三菱化学(株)の 「リンクロン」、日本ポリエチレン(株)の架橋用のPE 「ノバテックLD」等が使用 されています。また自動車内で電線を束ねて収納するコルゲートチューブにNyが使われる場合が増えてきて、 三菱エンジニアリングプラスチックス(株)の 「ノバミッド」が好まれて使われています。
環境問題
 電線・ケーブルについてもご他聞にもれず、リサイクルその他対環境性が問題視されています。その 金属導体部についてはかなりの程度回収システムが確立していますが、被覆材等については回収効率向上のための更なる技術開発が必要とされて いて、(社)電線総合技術センターや業界各社で開発努力が行われています。また冒頭に 述べたように、電線は広く社会全体に網の目のようにはりめぐらされているので、その被覆材については難燃性、あるいは事故・燃焼時の安全性など が強く要求されるようになっており、日本ポリエチレン(株)の「レクスパール」は、ノンハロゲン難燃剤を使用した環境に優しい処方を施しています。 また、例えば通常PVCは安定剤として鉛化合物が添加されていますが、ヴイテック(株)やアプコ(株)などはいち早く無鉛化PVCを開発し、現在は それらを中心に展開しています。