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アプコが三菱化学と合併し、三菱化学に(2008年4月1日)
自動車用プラスチック材料 − 量・質・種類的にも期待大 −
 自動車産業は多くの他産業に非常に大きな影響を及ぼしています。当然素材産業もその例に 漏れず、金属、ゴム、そしてプラスチック産業が特にその影響を強く受けてきましたし、今後も受け続けると思われます。
 プラスチックの用途分野別では自動車用途は10%弱ではありますが、使用されるプラスチックの種類は汎用から特殊品にいたるまで、ほとんど 全ての種類と言ってよいほど多種に及んでいます。プラスチックの使用部位も外装・外板、エンジン周り、駆動、足周り、室内装飾、 各種電気・電装・電子部品、等々あらゆる分野にわたっています。しかも自動車一台当たりの使用比率も増加の一途をたどり、世界的に見た 自動車の台数そのものの今後の成長とも合わせ、将来更に大きく期待されています。そして量的に期待できるのみではなく質的にも、常に高性能や コストダウンが強く要求され続けるなど、産業と技術の発展にも影響するところが大きいなど多大の興味が持たれています。
 自動車用プラスチック材料としては、やはり環境問題、そしてエネルギー問題、低コスト化、安全性・快適性などが話題の中心となっており、 非ハロゲン化難燃材料、そしてリサイクル性のより良い材料への転換等々が求められています。エネルギー問題や低コスト化と関連して モジュール化技術やそれがやり易い材料、そして快適性と関連しては制振性、低臭気性、低VOC等の材料が求められています。

具体的には、次のようなプラスチック使用部位が興味の中心になっています。
燃料タンク
 燃料タンクのプラスチック化は軽量化省エネルギーの意味が最も大きいのですが、他にデザインの 自由度、量産時の低コスト化、防錆性、衝突時の安全性等多くの利点があり、欧米では70〜90%がプラスチック製になっています。日本ではまだ 約20%ほどですが対金属で20〜30%もの軽量化効果もありこれからが期待されています。高密度ポリエチレン(HDPE)を主材層とする多層ブロー成形 で作られており、ガソリン透過防止の為のバリア層にはEVOH樹脂が使用され、バリア層とHDPE主材層の間には、接着樹脂層が設けられています。 主材用HDPEとしては日本ポリエチレン(株)の「ノバテックHD」 、接着樹脂としては、同社の機能性樹脂「アドテックス」が 市場をリードしており、また日本合成化学工業(株)ではEVOH樹脂として「ソアノール」 の名称で最適の材料を提供しており、このほどトヨタ車にも採用されました。関連部位としてはフィラーキャップや燃料ポンプがプラスチック製ですが 前者はナイロン(Ny)で三菱エンジニアリングプラスチックス(株)の「ノバミッド」 が有名ですし、後者はポリアセタール(POM)製で同社が最適材料を「ユピタール」 の名で提供しています。
ボディ外板
 ボディ外板については、欧米も含めてまだ大々的にはプラスチック化に至っていませんがその歴史は 古く、1950年代に米国で熱硬化性樹脂で採用されたのが最初のようです。その後成形コストとリサイクル性で熱可塑性のものに変わってきて いますが、爾来スポーツカーやショーモデルカーその他限定された車が中心でした。しかし、軽量化、デザインの自由度、衝突時の 歩行者保護安全性等々期待される利点も多く、このところ自動車メーカー、樹脂メーカー含めて積極的に検討されています。一方、性能、 トータルコスト等全てにおいて従来材料であるスチールとの比較が厳しく検討され、剛性、強度は勿論、熱膨張係数や塗装時耐熱性などプラスチック にはきわめて厳しい要求があります。従って高性能樹脂であるエンジニアリングプラスチック(エンプラ)を中心に、 ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、Ny、そしてそれら同士、あるいはポリプロピレン(PP)やエラストマーなどとのアロイ、 さらには各種無機、有機の充填材との複合など非常に多岐にわたった検討が行われています。そういう意味でも、これらを含め全ての汎用エンプラを 有する三菱エンジニアリングプラスチックス(株)では実用例もいくつかあり、さらに幅広く実用されるべく積極的な検討が行われています。
グレージング
 窓ガラスに関するグレージングについても期待は大きく、これはPCのシートあるいは射出成形で 作られるのですが、ガラスとの比較で40%以上の軽量化が可能だと言われています。その他デザインの自由度などの利点も大きいのですが、 特に三菱エンジニアリングプラスチックス(株)が同社のPC、「 ユーピロン」や「 ノバレックス」と共に提供している「 CFI」や「 PSI」と呼ばれる 加飾成形技術などを用いると非常に意匠性に富んだ窓類を作ることができ、サンルーフやリヤクオーターなどに実用されています。 最大の問題はガラスと比較した表面硬度・耐殺傷性とトータルコストです。特に前者が解決されるとガラスからのPC化は大いに進むと思われます。
インテークマニフォールド
 吸引空気をエンジンの各シンリンダーに分配するインテークマニフォールドのプラスチック化も 開発が始まったのは20年も前ですが、実用化は近年になり急速に進み、欧米では約80%がプラスチック製になっています。日本ではいまだ50%に 満たない状況で今後に期待されています。これはガラス繊維強化Ny製ですが三菱エンジニアリングプラスチックス(株)の「 ノバミッド」は多くの 採用実績を持っています。複雑な形状なので成形法も種々ありますが、同社では成形法も同時に検討していて成形性能、製品性能双方に すぐれた材料を提供しています。
その他の話題
 ほかに、少し前になりますが話題をさらったものにバンパーがありますが、現在、日本ではほとんどが PPのアロイ製で、日本ポリプロ(株)の「ノバテックPP」は、特にバンパー用に優れた材料だとして多く実用されています。また、やや特殊なものでは ありますが、昨今流行のRV車などの荷物用のルーフレール、これはPCアロイ製で三菱エンジニアリングプラスチックス(株)で本用途用に 開発された「ユーピロン」が多く用いられています。
 自動車内外装部品として、機能性樹脂も多く用いられていますが、三菱化学(株)の熱可塑性エラストマー「 サーモラン」や「 ラバロン」、アプコ(株)の熱可塑性エラストマー「 サーモラン(三菱化学鰍ニの共同開発品)」や「 サンプレーン」は異形押出に適した成形性を有し、 ウェザーストリップ、ルーフモール等の外装材に、アプコ(株)の熱可塑性エラストマー「 スミフレックス」や「 サンフロスト」は優れた耐候性・耐油性・耐磨耗性に加え、 表面艶消し効果からシフトレバーグリップやオープニングトリム等の内装材に使われています。また、 アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂は、成形がし易く、寸歩安定性や加飾性、めっき性などに優れており、内装の高級感を高める事が 出来るため、高級車を中心に採用が伸びています。多くの部品でABS樹脂からPP樹脂への代替が進みましたが、一部用途ではABS樹脂への 回帰が行われています。ABS樹脂としては、テクノポリマー(株)の「 TECHNO ABS」が多く使用されております。
 更に時代の流れに相応して、Nyが使われることも多く、電線格納チューブ用に三菱エンジニアリングプラスチックス(株)の「 ノバミッド」が採用されたのが良い例です。軽量化の 意味では上記のいくつかの例のほかに、共通例として鋼材のプラスチック代換えに長繊維ガラス強化のPPが考えられることが多くなってきて いますが、各部位のモジュール化などにも有用で本用途には日本ポリプロ(株)では「 ファンクスター」を最適材料として用意しています。

 そしてこれらを総合して、将来の方向としては、やはり環境問題、エネルギー問題、そして安全性であり、具体的には、燃料電池車、安全センサー 及びシステム、自動操縦、ITS対応そして天然物由来材料等々と将来目標も多彩で、材料、特にプラスチックに要求される事項も多岐にわたると 予想されます。そういう意味でも三菱化学グループは、現在でも上記のほかに下記のように広い範囲で自動車用プラスチック材料を取り揃えており、 将来ともに期待される存在と言えるでしょう。


三菱化学(株); 熱可塑性エラストマー 「 ゼラス」 「プリマロイ
三菱エンジニアリングプラスチックス(株);
  変性ポリフェニレンエーテル樹脂 「ユピエース」「 レマロイ
  ポリアミドMXD6樹脂 「 レニー
  ポリアセタール樹脂 「 ユピタール
  ポリブチレンテレフタレート樹脂 「 ノバデュラン
テクノポリマー(株); AS樹脂 「 TECHNO AES
アプコ(株); 塩ビコンパウンド「 ビニカ」「 スミコンVM
  熱可塑性エラストマー「 ミラプレーン
日本合成化学工業(株); 転写印刷フィルム「 ハイセロン